あの阪神・淡路大震災から10年が経ちました。
NHK国際放送でも生中継を入れた特別番組が組まれ
何時間にもわたって10年前の悲劇を取り上げていました。
実はあの大地震の10日前、
私は被災地となった兵庫県にいました。
当時16歳だった私は高校の休みを利用して
ひとりで明石市に住む祖父母を訪れていたのです。
当時の私にとって神戸はとても魅力的な町でした。
オシャレな雑貨屋さんや喫茶店が並び
東京都はまた異なる雰囲気を醸し出していました。
東京に戻って10日後。
テレビにの映像に私はショックを受けました。
私が歩いた道、立ち寄った喫茶店、
買い物した店がみんな潰れていました。
あんなにきれいだった神戸の町が瓦礫の山と化していました。
幸い兵庫県に住む親戚は皆無事だったのですが
私はどうしても神戸のことが頭から離れませんでした。
三学期の期末試験を終えて兄と二人、再び神戸に向かいました。
3月に入っていたと思いますが、
新幹線はまだ一部開通していなくて
バス等を乗り継がなくてはならず、
普段かかる時間の2倍以上かかりました。
着くと早速ボランティアに登録。
その時期には外部からの支援団体がだいぶ減っていたので
私は地元の生協に登録をして
翌日からゴミ拾いや炊き出しをしました。
そんな中で地元の方と交わした会話がとても印象的でした。
初老の夫人だったのですが、私が東京から来たことを告げると
「震災前の神戸をご存知ですか?」と聞いてきました。
私が知っていると答えるとその人は本当に嬉しそうに
「あ~良かったぁ。きれいな神戸をちゃんと見ておいて下さったんですね。今はこんな姿ですけど、それはきれいな街だったんですよ。」とおっしゃったんです。
神戸に住む人は、神戸のことを
心の底から愛しているのだと感じました。
だからこそ悲しみや苦しみを乗り越えて
あそこまで見事な復興を成し遂げたのだと思います。
この10年を節目に、神戸がますます
元気になっていくことを願って止みません。