先日近くの博物館で
グアテマラの民族衣装展が開催されていました。
常設展の一角に設けられた小さなコーナーに
数点の衣装が小物とともに展示されていました。
グアテマラは私にとって特別な国です。
大学で開発援助を専攻していた私は、
所属していたNGOのメンバーと共にグアテマラの山奥に入り
寝袋生活をしながら卒論執筆のための調査をしたのでした。
外国人が入るのすら初めてというその村落で
何よりも印象的だったのが女性達の民族衣装。
緑深い山の中での衣装はひときわ鮮やかでした。
今回展示されていたのはウィピール。
ウィピールは女性用の上着で、
二つ折りにした布の中央を
丸くくりぬいただけの簡単な貫頭衣です。
これにコルテという巻きスカートをはいて、
ファハという帯を締め、
頭にシンタを巻き付ければ盛装が整います。
グァテマラのインディオは、
現在でも、華麗、繊細な織物を
手作りで生産することで知られていますが、
その模様には動物や鳥、空想の動物などが織り込まれるなど、
実に様々な意匠がこらされていて、
インディオの織物文化の高さを象徴しています。
現在のグァテマラでは、
かつて行われていた糸紡ぎは既製品の糸の入手に変わり、
草木や貝での染色方法は、化学染料に変わるなど、
先進国の文明の波が押しよせてはいるものの、
原始的な機織り機を用いての布作りや
その布を使っての民族衣装作りは、
未だ盛んに行われているといいます。
ウィピールとコルテは、村によって模様が異なり、
織りの技術は母から娘へと伝えられています。
展示品を眺めながら
グアテマラで出会った子供たちの事なんかを
懐かしく思い出していました。